東洋医学とは何か?
日本は鍼灸・漢方を総合して「東洋医学」と呼び,漢方は医師が,はり師,きゅう師が専門の業としています。東洋医学の概念の中に「気」が存在しています。私には,それが何かを表現するのは難しく、現在もそれが何なのかを理解しようと努力しているところです。中国に端を発する漢字を使用している私たちは,気を病む,気をもむ。気が利く,気を抜くなど言葉がありますがそういった表現にも通ずる話があるとは思いますが,それだけでは東洋医学にある「気」の説明は難しいようです。
中国の古典には「気」が全身を絶えず循環することによって,水(津液)をめぐらし,血をめぐらせ,全身の機能が維持されているという表現があります。西洋医学の生理学にあるホメオスタシス的発想がここにはあると考えます。西洋科学の生理学分野では人体にある情報伝達は神経系,血液系を介して行っています。神経系は脳,神経,感覚受容器などが電気刺激,あるいはアドレナリンのような情報伝達物質によって情報を繋いでいます。血液を介してサイトカイン,内分泌ホルモン等によって情報伝達が行われ全身機能が維持さてています。
東洋医学には脳・神経系の発想が乏しく,西洋医学には「気」の発想がないと考えます。現代において脳・神経系をなくして生命機能の維持を語ることはできず,これにより東洋医学は古く時代遅れの医学として否定されるのは当然のように思えます。
では,現代において東洋医学を行う意味は何か。私が東洋医学を行う意味は何か。
それは,西洋医学にはない東洋医学的発想・概念が西洋医学では治癒しない病気,検査で原因がわからない症状を治す手がかりがあるからです。図のように西洋医学では網羅できていない領域,あるいわどちらの医学にも属さない生命の真実には,病気を治す手がかりがあると考えているからです。このような理由で,東洋医学は健康に希望を与えてくれる存在だと私は考えています。